愚者と愚者(下)

続巻が手元にまだないのに読み終わってしまった・・・。続巻といっても未完なんだが・・・。
内乱が止まらないパラレル日本での、女の子のマフィア中心の第2部の後半。差別主義者対いかなる差別をも拒否する二者(といっても前者は現状二つの組織に分かれる)の戦いの、首都圏攻防戦が主。新宿も池袋もかなり破壊され、渋谷もひどい状況。
最も差別の対象となりやすい女の子たち(女は引っ込んでろ系の差別主義者と、それを上手に「婦女子は保護されるべき」と言いつくろう差別主義者が敵の主)、彼女たちが武装闘争を行う、その首魁が一見ちゃらんぽらんなのに差別否定者を縦横に結びつける、その人的繋がりが一番おもしろいところかな。
第1部ではそれなりに暫定政権が発足していたのだがそれも崩壊した第2部が終わった時点で首都圏及び関東では完全に二者(女と外国人は引っ込んでろ軍対、差別否定者の連合軍)の対立となった。東海以西はもっとごちゃごちゃしているようだが本筋とは全く関係ない。
関東と首都圏の地図を見ながら読めばよかった。環七とか環八とか青梅、新青梅は位置関係だいたい分かるんだが、目白通りも場所は分かるんだがそれと池袋の関係が実はつかめてないとか、池袋の西口はほとんど降りたことないとか、大久保一丁目は職安通りとどういう関係かとか、麻生区ってどこよ、とか微妙に分かりそうで分からない状況がちょっともどかしい。どこもかしこも破壊されまくりなんだが。
そういえば核兵器は出てこないな。アメリカ軍と軍需産業がちょっと絡んでは来るが、それ以外の世界がどうなっているのかサッパリ分からなくて若干の「セカイ系」を感じさせもする。
しかし、未完・・・。59歳というのはあまりにも若い享年だよ、作者よ〜。