気候と歴史
古代文明と気候大変動―人類の運命を変えた二万年史 (河出文庫)
- 作者: ブライアンフェイガン,Brian Fagan,東郷えりか
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2008/06/04
- メディア: 文庫
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気候と歴史の研究は最近になって注目度が上がったわけだが、もうちょっと全ての研究で意識してもいいような気がした。
残念な点が二つ。中国の文明についての言及が全くないこと。エジプトやメソポタミア、クロマニヨン人のヨーロッパはもちろんのこと、さらにはマヤや北米インディアンまで扱っているのに、中国がマル抜けなのは問題がある。もう一点は原著は2004年という非常に新しい研究であるにもかかわらず、いわゆる「ケルト」の扱いがいわゆる「ケルト」のままであること。ローマの初期の時代だとしても「ガリア人」もしくは「ガリアの民族」ではいけないのだろうか。その当時ヨーロッパ大陸にいた人たちは「ケルト人」なのかどうかは怪しい。「ケルト」と呼ばれていたかも知れない人たちもいたかも知れないが、それがヨーロッパ大陸全体で砦を造り(これでかなりの森が消えた問のは驚き。農業のためだけではなかったのだ)小競り合いばかり続けていたのが同じ原語を操った同じ文化構造をもった人たちとは言い切れない。
それでも知的好奇心は刺激されるに足る意欲的な著書だった。これって一般書かな、注もないし。