イールこえぇ

深海のYrr 〈下〉  (ハヤカワ文庫 NV シ 25-3)

深海のYrr 〈下〉 (ハヤカワ文庫 NV シ 25-3)

最終巻読了。完全に現実逃避した。
イール、怖いよ、と途中まで読んでいたが、実際はアメリカ至上主義者怖いよ、という流れ。最後の頃は頭のよい狂人として描写されていたが、このヨーロッパ人的感覚はよく分かる。そして登場人物たちを惜しげもなく(何百頁にも渡って付き合ってきたような人たち)サクサク殺す話の展開。ハッピーエンドではない、しかも我々には猶予が与えられただけかも知れない、という終わり方や、既存の普遍的宗教(仏教を除く)は教義的に崩壊寸前、という流れも、ヨーロッパ人的だ。
結局のところ、地球に住むものたちとして地球全体を大切に守っていかなきゃイケナイ、という教訓めいたおわり方なのだが、そのあたりも臭くなくて上手な纏め方だと思う。ただちょっと冗長に過ぎる部分もあって、苦しい箇所が数カ所。
とりあえず作者は海洋、というか海を中心とした地球システム論大好き、ということはよく分かった。 Gulf Streamとか、北大西洋循環とか、大事よね、というのはいま読んでる本でも出てきていたのは自分的にタイムリー。