情念とか業とかいう言葉

吉祥天女 (1) (小学館文庫)

吉祥天女 (1) (小学館文庫)

吉祥天女 (2) (小学館文庫)

吉祥天女 (2) (小学館文庫)

大昔に読んでいたもの。思いだして読んでみた。
以前に呼んだときは単に怖くてしかも後味わる〜〜、という印象しかなかったが、この年になって読むと後味は悪くは感じなかった。死んでしまう以外にいい終わり方はなかったんだと思う。
怖い、というのは感じたけど同時に悲しさも伝わってきた。あれは復讐なのか? 復讐じゃないと思うんだよな。「か弱い」少女が一人自分の身を守ろうとしたとき、自分に備わっている武器を有効に使い、そして守りきっただけに過ぎないんだよな、たぶん。
ただ、武器が武器だから怖くも感じるし、卑怯にも感じるし、ずるくも感じるし、情も何もあるようには見えないだけなんだよ、たぶん。
吉田秋生の漫画にはこういう女性が多く出てくるなぁ、という印象。女性漫画家がこういう女性を描くことは云々、と考える時点で自分もまた構築されてきてしまった社会の一般論的社会概念に犯されているにちがいない。