なんとなく決着

イティハーサ』をこの週末全部読み返してしまった(何やってるんだろう、自分・・・)

イティハーサ (1) (ハヤカワ文庫 JA (639))

イティハーサ (1) (ハヤカワ文庫 JA (639))

amazonの書評が軒並み良い・・・。
何でか覚えていないが豪華本で全部そろえてしまい、しかもやっと出た最終巻を一度読んでひどく気に入らなかった記憶がある(イメージ的な(作者本人にとっては非常に論理的なのかもしれないが)、sci-fi(敢えてSFとは書かずに)的なガゼットを織り交ぜたようなモノローグ落ち、というのがまず非常に気にくわなかった。漫画なんだから映像で落として欲しかった)。なので最後の方はほとんど覚えていなかった。
漫画でも本でもこういうことは良くあって、それでももう一度読み直してみると、まったく違う印象を持ったりしてビックリすることもあるので、読み返してみたかったのだと思う。
人間って成長するからね、いくつになっても。それによってあらゆる物の印象が変わる可能性があるわけだ。


読み返してみた。やはり気に入らなかった。以前の気にくわなかった点はそれほど引っかからなかった。こういうのもありかな、と。それよりひどく満足できなかったのは、どうやら「一神教の神の与える平安では、人間は歩みをと持てしまう」、という点か。こういうのに引っかかる時点で、かな〜りキリスト教に「毒されて」いるとも言えるが、この漫画での最大の主題(であろうと読解力の低いわたしが理解し得たもの)、「人間は知ろうとして生きている」なんだが、一神教を奉じている人たちも、そうでない人たちも、それは同じなのではないのか、という点が思いっきり否定されていることなのだな。思考停止する者はどんな信仰を持っていてもそうするし、そこにはどのような宗教に帰依しているかは関係ないんじゃないだろうか、と。
途中までは明らかに、重い主題を持ちながらもエンター亭ニングにある程度は徹していると思っていたものが、最後に作者の哲学・思想をおもむろに、しかもあからさまに見せられたことに不満が残ったんだと思う。そういうのがタンにわたしに合わなかっただけなんだが、それにしてもそんな最後にいきなりハッピーエンドにしてしまうのも、なんか中途半端な感じがするんだよなぁ。ああ、それにしても何やってるんだろう、わたし。現実逃避しすぎだ。