機械と人間

グッドラック―戦闘妖精・雪風 (ハヤカワ文庫JA)

グッドラック―戦闘妖精・雪風 (ハヤカワ文庫JA)

戦闘妖精・雪風』の続編。
前作で唯一完全に信用していたスーパー戦闘機、雪風に裏切られ、身体的にも精神的にも傷を負った、他人に興味も関心もないコミュニケーション能力に著しく欠けるパイロット、深井零中尉。彼がナゾの異星体と戦ううちに、人間にとっての兵器である雪風と、雪風にとっての兵器である人間と、という考えを深め、それによって他人に関心を持ち、コミュニケーションの可能性の大きさを知り、機械と人間が二つで一つの兵器として、一体化ではなくそれぞれの特性を知り、それを利用し合うことで「生存競争」を生き残ることができるかも、と気がつき戦っていく、という話なのかな。機械と人間の関係ってSF的に単純に考えると、機械(知性体としての)対人間、という単純な構図になりやすいけど、こういう解決法、というか、こういう方向性にもっていくこともできるんだな、と。
前作ではなにを感じているか分からない雪風だったが、今回は「雪風タン」と呼んであげてもいいかも、という存在感。擬人化してないし、ペラペラしゃべったりしないんだが、深井大尉(に昇進)と通じ合ってる感じがよろしかった。
文章もかなり変わっていて、前作では発着陸のシーケンスがこれでもか、というぐらいかいてあったが、今回はゼロ。それよりも深井大尉と彼の周りの人々とのコミュニケーション、雪風とのコミュニケーション(相当脳内補完しない関係ではあるが)が中心で、かなり趣が違っていた。前作のあのちょっと読者を突き放した感じがわたしとしては新しくて結構良かったので、変わってしまったのは残念。