ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア

(衝撃的に)亡くなって20年も経つのに、新作が出版されるようだ。
『輝くもの天より堕ち』が7月に刊行予定。早川さんもがんばる時はがんばるものだな。
どうやらこれは85年に発表された未訳の長編らしい。うれしい限り。


SFものとしてはものすごく小童なわたしが偉そうなことは言えないが、
ティプトリーの小説、特に短編は読み終わったあとにSFを読んだ〜、
というよりもなんだか別次元に無理矢理連れて行かれた〜、という感じがする。
どことなく醜悪で、悪趣味で、精神的に追い込まれる、というか。
アシモフ読んで「なるほど〜、こういうオチかぁ」と思わされたり、
クラーク読んで「毎度毎度説教くさいなぁ」とかそういう感じじゃなくて、
うまく言葉にできない気持ちの悪さというか、気持ちの良さというか。


かなり前に読んで思いっきり忘れてるのだが、今でもタイトルまでよく覚えているのはこの二つ。


愛はさだめ、さだめは死 (ハヤカワ文庫SF)
に収録されている「接続された女」。これが一番有名なのかな?
始めに読んだ印象は「なぜこれが代表作とされるの?」と思ったが、
数年前に読み返してまったく別の印象を受けた。醜悪な話だからこその魅力というか。


老いたる霊長類の星への賛歌 (ハヤカワ文庫SF)
に収録の「ヒューストン、ヒューストン、聞こえるか?」。
男性と女性で感想が分かれるかも知れない。
男のいなくなった社会に紛れ込んだ過去の男たち、という話なのだが。


タイトルが思い出せないのだが、
時間が経つに連れてどんどん現実世界との時間的乖離が広がる男、という話があったんだが、
あれは一番強烈だった。内容が強烈すぎてタイトルが思い出せない・・・。


女性のいなくなった社会に紛れ込んだ、男性姿の女性(というか少年姿の少女)、
という話が萩尾望都の漫画にあったな。
(正確に言うと少女でもないし、紛れ込んだというのともちょっと違う)
マージナル (1) (小学館文庫)
もうコミック版はないのね。文庫だと全3巻か。
なんか分からないけどティプトリー萩尾望都ってわたしの中では同カテゴリーに入るのよね。