ジャージー島

イングランド南部から遙か南、フランスはノルマンディ地方に近接するイングランド領、チャネル諸島ジャージー島に行ってきた。ここは元首に英国国王を置くが、内政は独自で、ECにも加盟していない。本島では使えない貨幣を発行している(本島のお金は使える)。ノルマンディ地方のフランス語、ノルマン・フランス語を未だに使っている人たちが多い、らしいが、旅行中はよく分からなかった。おそらくフランス語に聞こえるだろうし、フランス語は分からないわたしにとっては違いが分からない上に、フランス人旅行者も多い。ただし、地名が英語であったりジャージー語、つまりやたらとフランス語的であったりで、英語の方はいいとして、そうでない方は発音が皆目検討つかず、英語っぽく発音してみたり、無理にフランス語っぽく発音してみたり、最終的には写真を見せて「ここ、ここ、あなたは行きますか?」とバスの運転手に聞いたりしていた。二泊したのは島内で一番大きな街で、島内いろいろなところに行くバスのほとんどがここ発着。レンタカー無しで旅行するには最も便利なところ。でも発音できない。St Helierという名前。セイント・ヘリエールと言ったり、サンテリエと言ってみたり、わたし自身がぶれまくっていた。


そこからバスで30分も行かないところに豪勢なお城(本当は城塞)。「おおゆうしゃよ、しんでしまうとはなさけない」的見た目。名前はMont Orgeuil城。読めない・・・。

城塞内はなぜかトカゲが有名。よく分からないのだが多分ここ独自の生き物のようだ。アイルランドでは見ないので、本当に久しぶりに見たハ虫類。

「ほら、対岸に見えるのがフランスだよ」なんだが、写真だとはっきりしないな。


この時点で天候は悪化、気温も下がってくる。でも次のところに強行出発・強行観光。で行ったところがわたしの個人的趣味、有史以前の墓、いわゆる「パッセージ・グレイブ」というもの。アイルランドのニューグレンジ遺跡と同類。ここでも自慢は「エジプトのピラミッドよりも古い!」。作られた時代は新石器時代。ここの地名はLa Hougue Bieと言い、発音は「ラ・ホーグ・ビー」らしい。バスの運ちゃんの発音より。
これは入り口。

パッセージ内。

墓の山(mound)の上には12世紀に建てられた教会(これはつい最近になって復元されたもの)。


まあ、寒かった。これで観光終了。この遺跡の敷地内には、第二次世界大戦ナチスに占領されていた当時の防空壕が残っていて、見学できる。そこには、ナチスによって連行され、強制収容所で強制労働をさせられていたロシア人たちの写真などが飾られ、6000念という長い歴史の流れで言えばつい最近に、この島及びヨーロッパ中を吹き荒れていたくらい時代を知ることもできる。日本人としては非常に微妙な気分になった。
さて、有名なジャージー牛はバスの中から見ただけ。しかも寒かったために、牛たちは互いにくっつき合っていて密集陣形を敷いていた。広い牧場の一部に大量に集まる牛。風景としてはちょっと異常。この後、久しぶりに見た「フル清くヨーロッパの日曜日」状態の街中(=つまりほとんどの店が閉まっていて、人通りが少ない。食事のメニューのあるパブも「日曜日なので飲み物のみ」と言われた)を歩き回り、ジャージー牛乳生のアイスをふるえながら食べた。


偶然だが泊まった宿の女将さんがアイルランドはダブリン出身。ダブリンでなにをしているのか聞かれたので「アイルランドの歴史を」と言ったら「ま〜〜〜!」と、基本的な反応を得たが、同行した友人が「アイルランド語を」と答え、やっぱりこっちの方がインパクトがあったらしく、わたしのことは忘れられて根掘り葉掘り聞かれていた。
ちなみに、ダブリン・ロンドンガトウィックという飛行機で行ったが、今週からダブリン直行便がある。かなりの観光地で、オンシーズンとオフシーズンの状況が極端であるようだ。