The Last King of Scotland「ラストキング・オブ・スコットランド」

The Last King of Scotland

を見てきた。昨年の映画賞の特に主演男優賞総なめとは知らなかった。確かに主演男優の演技は鳥肌立った。段々目がおかしくなっていくのが分かって。さっき知ったが実はかなり実話とは違うらしい。
2003年に亡命先のサウジ・アラビアで天寿を全うしやがった、ウガンダの70年代の独裁者にして大量虐殺者、イディ・アミンの姿を、彼の個人的医師にして「the closest adviser」となったスコットランド人の若い医師の目を通して描いたもの。実際の殺戮シーンはほとんど無く、最後の方にこの医師と関係を持った大統領の妻の一人(実際にはアフリカ人医師と関係を持ったらしい、そしてこの医師と共に殺されたらしい)のバラバラ遺体と、大統領の毒殺を図り(実話では暗殺をイギリス情報部? かなんかに指示されるが、それを図るどころか大統領に密告したらしい)、露見してしまったために拷問を受けるスコットランド人医師の姿ぐらいしかない(つまり実際には拷問など受けていない)。
話の始めから大統領が狂気に走っていたのか、それとも暗殺未遂以降おかしくなっていったのか、2時間の映画ではよく分からなかったが、わたしの直感に従えば、やっぱり暗殺未遂以降その狂気の度合いは深くなっていったのかな、と思われる。始めは民主が熱狂し、大統領の車に大人も子供も手を振り、国民みんなが新しいこの大統領を迎えて希望に燃えていたように感じられるし、アミン自身もそれに答えようとしていたように思われるからだ。確かに映画の序盤にも、社会主義者への弾圧は見られるのだが(アミンは元々社会主義独裁政権を軍事クーデターで倒して大統領に就任したわけだし)。まあ、軍事クーデターという時点で、狂気の独裁者になる可能性は大なのではあるのだが。それでもみんなが独裁者となって国民を弾圧しよう、と考えてクーデターを起こすわけではないだろうし、理想に燃えた理想主義者として逆に振り子が振りきってしまった、とも考えられる。
でも観ながら、そして観終わってからも気になっていたのが、どうして独裁者は狂気に駆られるのかな、ということ。独裁者だからそうなるのか、そうなる可能性の高い人物だから独裁者になるのか。字幕無し映画を見た後の乏しい理解で考えると、「信じられる人物がいない」ということと「裏切りを極端に嫌う」ということが原因なのかな、とも思う。とりあえず激しく重たい映画だった。
wikipediaで見た、独立以降のウガンダの歴史は本当に酷い。1962年の独立以降、独裁者の連立、数度のクーデター、そして現在も反政府勢力がゲリラ活動を行っているようだ。国土自身は肥沃そうなのに。


ちなみにスコットランド人医師が元々の目的でやってきたウガンダの田舎の病院の医師の妻役が、ジリアン・アンダーソンなのだが、全然スカリー捜査官に見えなかったよ。


ほとんどできていない日本語版公式サイト。予告編はようつべさんで観た。
http://movies.foxjapan.com/lastking/