Kay, Guy Gavriel, The Wandering Fire (The Fionavar Tapestry: Book 2)

The Wandering Fire (Fionavar Tapestry)

The Wandering Fire (Fionavar Tapestry)

このシリーズ2作目。翻訳されず、ここ数年ずーっと気になっていた続編読了。
すごいよ、「ケルト」色強くなったよー、ハヤカワさーん。1作目で主人公の一人が「不死者を再び闘いに呼び戻さなくてはいけない。でもでも」と悩んでいた不死者がなんと! アーサーだったのだよ、アーサー復活! というわけで彼が出たんだからもちろんギネヴィアも出てくるし、最後になんとランスロットまで復活! ああ、永遠の三角関係!!
まあ、話は平行世界での現代の若者の活躍、光と闇の闘い、というファンタジーの典型なのだが、その若者たちに襲う激しい運命。ちょっと一人死んじゃってるし、現代に帰ってきたらどう片を付けるのだろうか。
平行世界では、やっぱり月は一つで、15日で満月になるし、ちゃんと四季もあるし、だから別段異色な感じがしなくて読めるのだけど、平行世界がかなり違う世界、という話も好きだったりする。で、この手の設定が上手なのが、萩尾望都だなぁ、と、違うところで感心する。『モザイク・ラセン』なんてもろそういう話だし。彼女はSFも多く描いているので、そういう傾向が強いのかな、とも思う。『11人いる!』の続編の『東の地平・西の永遠』に出てくる世界とか、『銀の三角』の世界とか。しかもそういえば「日食」というのが大きなテーマになってることも多いな。萩尾望都と日食、というテーマで考えてみるのも面白そうだ、と、話が違う方向に行ってしまった。
さて、3作目が最終巻。読み始めたが、別に風呂敷広げた系の話ではないので、ワクワク感はないけれど、どういう大円団(あるいはそういう終わり方じゃないかもしれないけれど)になるのかは楽しみ。『指輪物語』的な、ほろ苦い終わり方なのか。あれは『追補編』を読むと、違うほろ苦さも感じるんだけれども。