バチカン奇跡調査官・黒の学院、アフリカで誕生した人類が日本人になるまで

お嘆美かと思ったら、キリスト教系の怪奇ホラーミステリーだったでござる。キリスト教系の怪奇、ということで聖母マリア像が壁に染み出したり、涙を流したり、聖痕現象が現れたり、人が殉教聖人のような死に方をしたり、ということが起こる。起こったのはカトリック系の男子寄宿学校で(なのでもちろんソドミーもあり)、それをバチカンの奇跡調査官二人が調査に行って解明する、という、形は一般的なホームズとワトソン系。ホームズは睡眠時間が非常に短くひとつの謎に集中してそれ以外の部分がてんでだめな日本人神父。ワトソンはそんな日本人神父の性格をちゃんと理解してくれ(読者のために分かったことを聞いてくれ)る比較的普通のイタリア人神父。
SC、というアルファベットでしか書かれない学院の優秀な生徒たちの特別な授業、にミスリードされた。彼らの特別な授業の描写の時点で気がつくべきだったのだ、あと学校の神父たちの名前(どちらかというと名字で)。神父の名前が聖書読みなのもミスリードだ。処女受胎は想像した通りであったが、その結末は後味が少々悪い。
聖痕現象の原因がさりげなく解かれていないような気もするがまあいいか。


アフリカで誕生した人類が日本人になるまで (SB新書)

アフリカで誕生した人類が日本人になるまで (SB新書)

ですます調の新書というのは何かだまされたような気がする。
猿人からホモ・サピエンス(・サピエンス)までの道筋で、ミッシングリンクの一部で埋められたかなぁ、というところへの興味からだったので、埋められてはいなかったけれどもこのあたりは新しく知った部分も多かったのでまあ満足。数年前に新聞で読んだシベリアあたりで発見された多分新種の旧人かなんかの化石は結局どうなったのか知りたかったのだが、それについての話はなかったのであれはデマだったのかなぁ、と思う。
正直日本人の祖先はどこから人たちか、という部分はあんまり興味がなかったのでながし読み。結局まあ大体3系統あったけど、そのうち1系統が一番増えていって主流になったのね、という話。弥生人系が実はもともとバイカル湖あたりまでいった人たちの子孫、という話は少々興味深かった。
しかしお金の無駄ぐらいさっくり読み終わってしまう本だったな。