孟嘗君と戦国時代

孟嘗君と戦国時代 (中公新書)

孟嘗君と戦国時代 (中公新書)

一昨年テレビでやっていたものの文書化したもの。
この人は孟嘗君が大好きなんだね、義に篤く、徳が高い戦国時代の英雄の一人。食客1000人という規模。孟嘗君を書くために、小説家になったようだ。
それで作品リストを確認してみる。
『天空の舟』(夏王朝の滅亡と商の誕生)
『孟夏の太陽』(春秋時代の晋)
『夏姫春秋』(春秋時代の鄭)
『侠骨記』(戦国時代の魯など)
『王家の風日』(商末期、牧野の戦い)
『沈黙の王』(商王朝
『花の歳月』(前漢初期)
『重耳』(春秋五覇の一人)
晏子』(春秋時代の斉の名将、名宰相親子)
『介子推』(長耳の部下の悲劇の主人公)
孟嘗君
とこの後も続くわけだが、孟嘗君を書くためにその前史、その前史を理解するためにさらにその前史、と遡って夏王朝から物語が始まった(『花の歳月』は例外的だが)、と考えるとなんとなく宮城谷昌光の志向の方向が分かる。刊行順であって書かれた時期ではないのではあるが、ある程度は。


個人的には『天空の船』とか、『孟嘗君』以後の『奇貨居くべし』(始皇帝の宰相となった呂不韋が主人公)、『太公望』(言わずとしれた商滅亡と周王朝誕生の立役者)のような「革命の英雄」の話の方が良く覚えていて、孟嘗君の話はまったく覚えていないのだが。
小説と同様、ものすごく淡白な文章なのが個人的には好きだ。