タイムトラベル&平行世界

時砂の王 (ハヤカワ文庫JA)

時砂の王 (ハヤカワ文庫JA)

時間線を遡行して人類の完全なる殲滅を狙う謎の存在。絶望的な撤退戦の末、男は最終防衛ラインたる3世紀の倭国に辿りつくが……(ハヤカワ・オンライン

話は壮大、だが設定やら原理やらの説明が無く、淡々と話が進んでいく、ところが実よい。敵がまったくなにを考えているのか分からない、というのは重要だ。
時間遡行は、ヘタに原理書かれると安っぽくなりそうだし。(実際のところ「あれ?」と思うところもあったのだが)
過去で積極的に歴史に介入することで、量子論的平行世界が増殖し、それによってますます元々自分がいた「未来」の世界が埋没されることによる激しい喪失感が全編貫いている、のではあるが、3世紀の倭国の人々が、その時間、その世界で必死に生きようとする姿が活き活き(とは言えないぐらい死んでるんだが)書かれているので、思っていたより重くなかった。
ちなみに邪馬台国畿内説。
統合作戦本部的コンピュータ(と思われる)の名前がカティ・サークなんだが、昨年燃えていたロンドンのカティ・サーク号は、結局どうなったんだろう?