帰国後読書その2

Brilliance of the Moon: Episode 5: Battle for Marnayama (Tales of the Otori)

Brilliance of the Moon: Episode 5: Battle for Marnayama (Tales of the Otori)


「オオトリ国紀伝」三部作最終巻。読むの辛かった〜。運命的に再会したタケオとカエデが性急に結婚し、カエデの領地をまず平定し、そこからタケオが最終的に復讐、1巻で殺された彼の命の恩人にして養父となったオオトリシゲルの死の責任を、彼の伯父たちにとらせる、という計画が、その性急さによって危うくなる、という話。
ともかくこの結婚が、かなりもやもやしたので読む気力が失せた。カエデは一度は男のように領地を統治する、という気を燃やしたのに結婚したらただの女に成り下がるし、タケオは「忍者」としての生活ではなくオオトリ家の正当な継承者として生きていく一大決心をしたのに、愛に流されて、地位の高さ故の責任も、政治的見識も、経験者たちの意見も全部無視して突き進んだ故の結果、死地に飛び込む直前まで行ってしまっているわけで、最終的には大団円らしきものは迎えるが、かな〜〜りマッチポンプな印象を受けた。


良い点として、印象的だったのは自然の力が運命を動かすところ。台風と、頻発する地震、そして最終局面での大地震。タケオが受けた「予言」と共に、運命を動かすことは人間にはできず、ただそれに流されるだけでなく、できるだけ棹さして運命の船を操っていこう、という人間の生き方、といえるものが書きたかったのかな、と。しかも最終的には自ら操っていたつもりの船が、それこそがまさに運命の流れに乗って不可避的に動いていたんだね、という結び、かな〜〜。


愛故の結婚って言うのは現代的観点から言えば、封建的な時代に愛を貫いた二人として賞賛されるのかも知れないが、大河ドラマとか時代劇みまくった思春期を過ごしたわたしにしてみると、権力者としての責任とか覚悟とかが無視された感じがして、そこがダメだった理由かと思う。というわけで1巻目はかなり燃えて読んだけど、巻が進むに連れて面白くなくなってしまった感がして残念だった。ちなみに、終わり方が微妙だったのだが、およそ1年ほど前に第4巻が発売されたので、その後と、ひょっとしたらタケオに下された「予言」の最後の結末まで書かれているのかも知れない。でも読むきはないなぁ。