George R. R. Martin, A Storm of Swords, 1: Steel and Snow

A Storm of Swords: A Song of Ice and Fire: Book Three

A Storm of Swords: A Song of Ice and Fire: Book Three

氷と炎の歌』シリーズの第3巻、第1部、読了。前冊、前々冊同様相変わらず混沌が増していく展開。語り手が二人増えるが、前巻で増えた語り手一人は今回は消えた。より、ファンタジーの要素が増えてきた。手先が黒く、目が青く光る動く死体の大群、何度も「死んだ」と思われながら何度も復活しているLightning Lordと、その復活に何らかの「魔」的な力を使う、「光と炎の神」に使えるpriest、第三の目を獲得し、自らの仲間であり守護者である大狼(direwolf)に「憑依」することができる少年。そしてすべての登場人物達が、少年、少女はその運命に翻弄され、たくましく成長するもの、さらなる危険にさらされるもの、大人達は刻々と変化する政治状況や勢力争いを利用したり、利用されたりしている。
前巻以上に登場人物達の性格、状況に慣れてきて、話を読み進めるのが楽になってきたが、やはりその人数がちょっと多すぎるきらいがある。また、この先出てくるのかもしれないが、複線と思われたものの回収が簡単になされているか、実は複線ではなかったような印象を持たせる。特に後者のような場合、話の厚みがどんと減ってしまうように感じられるので、その辺をうまく使って、話を進めて欲しい。風呂敷広げるだけ広げてそれで終わってしまうような話に比べればまだましなのだが。

ちょっとネタバレ(まだ翻訳がでていないので)。Jaimeの右手、すなわち騎士である彼が剣を振るう手、それが切られてしまうとは・・・。それでもいまだに双子の妹(姉かも)との関係(つまり近親相姦)を求めているのがちょっとイヤだ。あんまり同情できない。そして、Sansaがよりにもよってあんな相手と結婚。有無をいわせずあっという間に式を挙げられ、貞操の危機。そしてそれイコール、彼女の実家の実権の危機でもある。でも相手の気持ちも分かるから、この二人は何とかして欲しいんだけど、やっぱりそういって欲しくない気持ちもある。そして、ジョン、君は、ちょっと、たががはずれて女と寝たりしたあげく、その女のことを心配しつつ、結局逃げて(語弊はあるが)しまうのか。最後にDaenerys、いつの間に商売人達を手玉にとることを覚えたの? というぐらい成長著しい登場人物の一人だな。