ヨルムンガンド・11

ヨルムンガンド 11 (サンデーGXコミックス)

ヨルムンガンド 11 (サンデーGXコミックス)

最終巻。表紙でヨナが微笑んでるよ…。女性陣は頭がおかしい人が多いが、やっぱりココが一番頭がおかしい。「新しい世界」は戦争のない世界、と言っておきながら、そんな未来のこと分かるか、と言いのけて、完全に戦争が無くなるわけではなさそうなフラグも立てまくって終了。ここは武器商人を辞めた、としていいのか。
ヨナは結局銃を捨てられず。


父親が何を思って自分の息子と娘を幼いころから武器商人として現場を歩かせたのかは分からずじまい。なんとなく最後まで彼の掌の上で転がされていたような気配が…。しかしこれはSFという部類でいいのだろうか、りょうしこんぴゅーたー。


番外編とか書く気ないだろうな、作者。女子高生殺し屋を満を持して書き出したように思えるし。

清盛以前

増補改訂 清盛以前 (平凡社ライブラリー)

増補改訂 清盛以前 (平凡社ライブラリー)

伊勢平氏の確立と、軍事貴族としての平氏の誕生に関して。高望王から国香、その子貞盛の話は無し。平維衡伊勢平氏の祖となり、その子正度を経て正盛に達して白河院の寵臣となり、末子でありながら伊勢平氏の棟梁の家系に成り上がる。その跡継ぎである忠盛は初めて「軍事貴族」的な教育を受け、父と同じく白河院の寵臣、そして実力を兼ね備えた自信家として権力闘争の場である朝廷を上手に渡り、武士(身分的には諸大夫層)でありながら(遅々としながらも)公卿へあと一歩、のところまで登る。『清盛以前』なので忠盛が亡くなるところまでが本筋で、「もしも忠盛がもう数年長生きしていたら」という仮説に立った保元の乱時点の平氏の立ち位置を確認するのがエピローグとなっている。本書の半分以上の頁は忠盛と鳥羽院との関係に割かれている。
清盛が、武士が政権を担う時代700年の端緒となった、と言われるようになったが、彼はその生まれと(高橋昌明は白河院落胤説)その育ちと(伊勢平氏次期棟梁の忠盛の第一子として)、何よりも祖父正盛の幸運(武士としての実力と貴族層との主従関係の結び方の上手なところももちろん)と忠盛の高級貴族層の反発似合いながらも中級、下級貴族殿関係性の構築と政治的平衡感覚、そして何よりもさまざまな手を使って集めた財力に負うところが大いにある。白河院の寵臣でありながらその後、待賢門院のお気に入りから鳥羽院の寵臣になっているし、摂関家にも恩を売ってそれなりにいい関係を結んでいるし、鳥羽院に冷遇された崇徳院の息子の乳父となり和歌を通してサロンの一員ともなっているし、それにもかかわらず美福門院にも大いに頼りにされている。
清盛は(大河ドラマの清盛とは違って)かなりな部分、父親のやり方を学習して、踏襲し、更に活用したのであろうが、どちらかというと幸運に恵まれているようなイメージ。父親が忠盛であるということ、自分に取って代わる実力を持っていた弟家盛が早世していること、崇徳院の息子の乳父となっている父親が保元の乱以前に亡くなっていること、そして何よりも実父が白河院であること。もちろん特に最後のことについては、忠盛も利用したし、おそらく清盛も良く認識して利用したにちがいない。
そう思うと、結局貴族層に吸収されてしまった清盛一党の軍事貴族の政治を見ながら雌伏の時を過ごし、反面教師とした頼朝が一番政治的には幸運ということか。命乞いをしてくれたのは清盛の母親だし。


日本史は漢字を出すのが大変だなぁ。しかも本書はひらがながほとんど振っていないので門外漢が人名を読むのはかなり大変であった。