奇貨居くべし・春風編、瞳の中の大河

緊縮財政につき再読。

奇貨居くべし―春風篇 (中公文庫)

奇貨居くべし―春風篇 (中公文庫)

秦の宰相となった呂不韋の少年時代。
愛と知識に飢えた大商人の息子として描かれている。言えに居所がないからか沈思黙考する見目麗しき少年であり、自らと周囲とのことがらを良く分かっている。史料が鳴くよく分からない人物の内面を詳細に述べながらダラダラしないのは宮城谷の特徴かな。知略を働かせるところが早く見たい。


瞳の中の大河 (角川文庫)

瞳の中の大河 (角川文庫)

愛と憎しみに複雑に絡め取られた主人公の、それでも愛と正義(理想としてのだが)を貫こうとした生涯。「内戦が終わり、誰も圧砕に苦しまず、みんなが小さな幸せを噛み締めて生きること」だけを求めて、それでもきれい事ではすまないことも分かっていながら純粋に目的に向かい、自らの命を捧げたかのような人生。
海を知らない二人のほんの一瞬の邂逅によって生まれた娘が、ついに海にまで達した、というエピローグにぐっときた。